【まとめ】Psi4の使い方

本ブログではPythonのオープンソースライブラリであるPsi4を用いて,量子化学計算の初心者を対象にした記事を多数用意しています。

記事の内容を一つずつ習得することで,知識・経験ゼロの状態から徐々にステップアップしていくことで,量子化学計算の基本コンセプトが習得できるように構成されています。

本ブログの内容を下敷きに,大幅に加筆修正した量子化学計算の入門書を執筆しました。2024年3月15日よりコロナ社から販売されています。是非お買い求め下さい。

Psi4のインストールから最初の量子化学計算まで

計算化学にpythonとPsi4で入門」という記事では,

  • Psi4とは何か
  • Psi4のインストール方法
  • 水分子のエネルギー計算を題材としたインプットファイルの作成法

などを解説しています。

計算化学にPythonとPsi4で入門
近年のコンピューターの高速化に伴い,実験化学者であっても高度な計算を手元の計算機で実行可能な環境が整いつつあります。 計算化学とは「コンピュータを使って化学の問題を解く」学問領域で, 分子力学法(MM) 分子軌道法(MO) 密度汎関数法(DFT) 分子動力学法(MD) モンテカル...

Google Colab上でのPsi4の環境構築方法

初心者の方ですと,そもそも自分のコンピュータ上にPsi4の実行環境を用意することが困難な場合もあると思います。

Google ColabでPsi4:量子化学計算用のpython環境を手軽に構築」という記事では,Psi4を自分のコンピュータにインストールすることが難しい方のために,Google Colab上での環境構築方法について解説しています。

これでiPadなどのタブレット端末からも量子化学計算を実行することが可能になります。

Google ColabでPsi4:量子化学計算用のpython環境を手軽に構築
本ブログでは「有機合成化学者のための計算化学入門」を掲げて,特にpythonを用いて量子化学計算を行う際に必要となる環境構築方法から解説してきました.例えば「計算化学にpythonとPsi4で入門」という記事では,pythonの量子化学計算用ライブラリであるPsi4のインストール...

Psi4を用いた構造最適化計算

構造最適化計算とは,分子構造を少しずつ変化させながらエネルギー計算を繰り返すことでエネルギー極小値を与える構造を求める方法です。分子の安定構造が求められるために,興味のある分子に対してまず実施する計算になります。

計算化学の構造最適化の基本をPsi4で学ぶ」では,Psi4を用いた構造最適化計算について説明しています。

計算化学の構造最適化の基本をPsi4で学ぶ
「計算化学にPythonとPsi4で入門」という記事ではpythonで扱える量子化学計算ソフトウェア「Psi4」の紹介と,簡単なエネルギー計算のやり方を扱いました. その際に得られるエネルギーは 用いる計算レベルによってエネルギーの値が異なる 計算する構造によってエネルギーの値が...

Psi4を用いた振動数計算

構造最適化計算では予め定めた終了判定基準を満たす構造に収束させます。得られた構造が安定構造か,不安定構造かを調べるのが振動数計算と呼ばれる計算方法です。

Psi4における振動数計算:IRスペクトルや異性体間のエネルギー差を計算」という記事では,

  • 振動数計算の実行方法
  • 計算振動数とIR振動数を比較する際の注意点
  • 計算により得られるエンタルピーやエントロピーなど熱化学諸量の使い方

などの項目について具体例を用いてやさしく解説しています。

Psi4における振動数計算:IRスペクトルや異性体間のエネルギー差を計算
これまで本ブログでは量子化学計算用のpythonライブラリであるPsi4について,「計算化学にPythonとPsi4で入門」や「計算化学の構造最適化の基本をPsi4で学ぶ」という記事を通じて 計算のセットアップ方法 エネルギー計算 構造最適化計算 をはじめとする基本的な使い方を説...

Psi4を用いた遷移状態の最適化

化学反応において,原系と生成系を結ぶ反応座標上の極大値を遷移状態と呼びます。遷移状態がわかれば反応の活性化エネルギーを見積もったり,反応機構の解析などが行えます。実験的には直接観測できない遷移状態の構造を見ることができるのは,計算化学のメリットの1つです。

Psi4で遷移状態最適化:計算化学における虚振動と化学構造」という記事では,化学反応の遷移状態を計算する方法について基本から説明しています。

Psi4で遷移状態最適化:計算化学における虚振動と化学構造
「Psi4における振動数計算:IRスペクトルや異性体間のエネルギー差を計算」という記事では,python用量子化学計算ライブラリであるPsi4を用いた振動数計算について説明しました.その際,振動数計算は最適化構造を用いて実施する必要があることを述べました.振動数計算によって用いた...

Psi4で反応経路の計算

遷移状態とは原系と生成系を結ぶ構造です。計算化学において遷移状態が繋ぐ構造を確認するには,最小エネルギー経路(Minimum Energy Path)を求める必要があります。固有反応座標(IRC: Intrinsic Reaction Coordinate)は質量加重座標における最小エネルギー経路です。

Psi4でIRC計算:固有反応座標で反応経路を求める」という記事では,Psi4を用いたIRC計算のやり方を基本から説明しています。原系から遷移状態を経て生成系へと繋がる反応経路の計算方法について説明しています。

Psi4でIRC計算:固有反応座標で反応経路を求める
「psi4で遷移状態最適化:計算化学における虚振動と化学構造」という記事では,python用量子化学計算ライブラリであるPsi4を用いた遷移状態構造の最適化について学び,唯一の虚振動を可視化することで望みの構造を繋ぐ遷移状態であることを確かめました. 今回はIRC計算と呼ばれる計...

Psi4で分子軌道の可視化

シュレディンガー方程式を解くことで得られる分子軌道は分子周辺に3次元的に広がっています。そのため計算化学では,分子軌道のような3次元空間に広がる値を記録する共通のフォーマット形式が利用されています。

Psi4とCubeファイル:分子軌道や静電ポテンシャルマップの可視化」という記事では,

  • Cubeファイルとは何か
  • Psi4でのCubeファイル作成方法
  • Cubeファイルを用いた可視化方法

について分子軌道や静電ポテンシャルマップを例に説明しています。

Psi4とCubeファイル:分子軌道や静電ポテンシャルマップの可視化
「計算化学における電荷:Psi4を用いた電子密度解析」という記事では,波動関数から得られる情報として電子密度解析のやり方を説明しました.今回は波動関数から得られる他の情報として,分子軌道や静電ポテンシャルなどの対象分子を中心とした3次元空間に広がる情報を取り扱っていきます. 今回...

Psi4で電子密度解析

シュレディンガー方程式を解くことで得られる波動関数からは,さまざまな情報が得られます。これら情報はPsi4ではWavefunctionオブジェクトに格納されています。

計算化学における電荷:Psi4を用いた電子密度解析」という記事では,Psi4のWavefunctionオブジェクトの使い方について説明しています。特に

  • 電子密度解析
  • 双極子モーメント
  • 結合次数

について具体例を通して学んでいきます。

計算化学における電荷:Psi4を用いた電子密度解析
「計算手法とエネルギー・最適化構造の関係:コンフォメーション探索における注意点」という記事では,Psi4を用いて様々な計算手法を用いてエネルギー計算を行うことで, 計算手法によって考慮できる相互作用が異なる ことを説明しました。その結果 構造最適化できないことがある コンフォマー...

Psi4を用いた基底関数重なり誤差の計算方法

化学現象は分子同士の相互作用によって生じます。そのため相互作用エネルギーの算出は重要です。計算化学では相互作用エネルギーは超分子法と呼ばれる方法で計算されます。

Psi4で分子間相互作用エネルギーの計算:超分子法と基底関数重なり誤差」という記事では,

  • 超分子法とその注意点について
  • Psi4で超分子法を用いて相互作用エネルギーを計算する方法

について説明しています。

Psi4で分子間相互作用エネルギーの計算:超分子法と基底関数重なり誤差
分子間の結合の生成やリガンドの受容体への結合を始めとする興味深い化学現象は分子同士の相互作用を駆動力として生じます.そのため分子間相互作用を理解することは重要であり,計算化学を用いることでその理解を深めることができます. 今回は2つの分子の会合体形成を例として,計算化学を用いてど...

Psi4で溶媒効果を取り込む方法

量子化学計算の多くは真空中での孤立分子を対象に行われます。このような限定的な条件でも,量子化学計算は分子構造やエネルギーに関し,有用な示唆を与えてくれます。

しかし多くの化学反応は液相中で行われることから,溶媒効果を計算結果に取り込むことができれば,より有用な知見が得られます。

という記事では,Psi4を用いて溶媒効果を取り込む方法について基本的な事項から説明しています。

Psi4で溶媒効果を考慮する:PCM Solverの使い方
これまで本ブログではpythonを用いて計算化学を学習するために,「計算化学にPythonとPsi4で入門」という記事から始め,いくつかの記事で量子化学計算用ライブラリPsi4の使い方を紹介してきました. これまでの計算は全て真空中での孤立分子を対象に行ってきました.このような限...
Psi4で溶媒の直接関与を考慮する
「Psi4で溶媒効果を考慮する:PCM Solverの使い方」という記事では, 計算化学で溶媒効果を考慮する方法の一つとして連続誘電体モデル Psi4を用いてPCM Solverを使い,溶媒効果を考慮する方法 などについて紹介し,溶媒効果を考慮してどのように計算していくかを説明し...

計算レベルとエネルギー計算の注意点

量子化学計算はシュレディンガー方程式やコーン・シャム方程式を近似的に解く試みです。そのためどのような近似を行うかによって,得られる値が変わってきます。計算手法によっては考慮できない相互作用なども存在します。

計算手法とエネルギー・最適化構造の関係:コンフォメーション探索における注意点」という記事ではPsi4を用いてエネルギー計算を行いながら,計算手法とエネルギーの関係を説明しています。

計算手法とエネルギー・最適化構造の関係:コンフォメーション探索における注意点
「RDKitを用いたコンフォメーション探索:MMFFによる配座異性体生成とクラスタリング」という記事では, RDKitに実装されているディスタンス・ジオメトリー法による配座発生 MMFFによる構造最適化と同一構造の除去 取得した多数のコンフォマーをDBSCANを用いてクラスタリン...

Psi4に実装されていない基底関数系を使う

分子軌道法やDFTでは分子軌道を基底関数の線形結合として表現し,分子軌道の関数系に制限を加えます。基底関数の集まりを基底関数系といいます。

基底関数系は量子化学計算の精度を決める大切な要素であり,さまざまなものが報告されています。Psi4でも数多くの基底関数系が実装されています。しかし,全ての基底関数系がサポートされているわけではありません。Basis Set Exchange(BSE)は今まで報告された基底関数系を集めたデータベースです。

Basis Set Exchangeは基底関数系に関するデータベース:pythonとPsi4を用いてECPを自在に扱う」という記事では,

  • BSEの説明とPythonを用いた使い方
  • Psi4を用いた基底関数系の設定方法

について説明しています。

Basis Set Exchangeは基底関数系に関するデータベース:PythonとPsi4を用いてECPを自在に扱う
計算化学では分子軌道を,構成原子の原子軌道の線形結合で表現します.これまでさまざまな原子軌道を表す関数が提唱されています.このような原子軌道を表す関数を基底関数(basis function)と呼び,その集まりを基底関数系(basis set)といいます. 基底関数系は量子化学計...
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